
本の知識を自分のものにする科学的に正しいアプローチ【書評】知識を操る超読書術
2020/04/20読書するは良いものの、なかなか頭に定着しない。すぐに忘れる。そういう悩みがある。
「そいつはちょっとイケないな」ということで、記憶への定着率を上げるために手にとった本がDaiGoの「知識を操る超読書術」です。
なかなか良かったんで、ちょっと紹介しようと思う。
僕と同じように「あまり記憶に定着しなくてなんとかしたい」という人や、「途中で飽きちゃって最後まで本を読みきれない」なんて人におすすめしたい。
理解力と記憶力を高める5つの読み方
詳しい解説は「知識を操る超読書術」で確認してほしいんですが、僕にとってもっとも重要だった「定着率を上げるための方法」をピックアップして、ざっくり紹介します。
本書では、トルコの名門らしいハジェテペ大学での研究で明らかになった5つの効果的なテクニックを紹介しています。
- 「予測」読み
- 「視覚化」読み
- 「つなげ」読み
- 「要するに」読み
- 「しつもん」読み
キーワードでなんとなく予想のつく人もいると思います。ひとつずつ見ていきましょう。
「予測」読み
まず、本の内容を予測しましょう。やることはけっこう単純です。
- 表紙から、本の内容を予測する
- 目次から、各章の内容を予測する
- 予測内容をメモしておく
- 結果と比べる
例えば「知識を操る超読書術」だったら、
「知識を操る」わけだから、単に読むだけじゃなくて、アウトプットまで見据えた読書術が書かれていそう。
とか、そんな感じ。
同じことを「目次」でもやるわけです。「この章にはこういうことが書かれていそう」と予測していきます。別に予測は合ってなくても良い。
そうすると、自分にとって読むべき場所がわかる。
例えば、僕なら「定着率を上げたい」っていう悩みがあるわけだから、第3章の「理解力と記憶力を高める5つの読み方」がもっとも重要だって予測できるよね。
自分の課題と関係ない章は飛ばし読みしたり、別に読まなくたって構わないわけだから、どこに何が書かれているかを予測しておくのは時間効率を上げてくれます。
まあ、予測が当たっているとは限らないけどね。
なぜメモして、結果と比べるのか
で、その予測をメモしておく。なぜメモするのかっていうと、あとで結果と比べるためです。
じゃあ、なんで予測と結果を比べるのか。もちろん「定着率を上げるため」です。
意外性があればあるほど、記憶に残るらしい。「まあ、そうだよね」ってことより「あ、そうなの!?」ってことのほうが記憶に残るよね。
だから「予測を裏切られた!」「そんな単純じゃなかった!」って感覚を得るために、メモしておいて結果と比べるわけです。
他にもポイントはあるけど、詳しくは読んでくれ。
「視覚化」読み
「ビジュアル化」と読んでも良い。
- 「前提」→「解説」→「結論」の流れをフロー図のようにしてまとめる
- マインドマップにしてみる
このセクションでは「理解度や定着率を上げるにはストーリーが大事だ!」と書かれています。
たしかに、歴史の授業で年号と出来事をつらつら並べた授業より、いったい何があってなんでそんな事態になったのかをストーリー仕立てで教えてくれる授業のほうが理解しやすいし、記憶にも残るよね。
授業じゃなくてもマンガやドラマでもそう。年表を見るより、マンガで読んだほうが理解できるし、覚えられる。
でもビジネス書の大半は「ストーリー仕立て」じゃないよね。
そこで「論理構造をストーリーとして、ビジュアル化しよう」というのがこのテクニックなわけです。

マインドマップでもいい。マインドマップも構造をビジュアル化しているよね。
すべての章でやるのは大変だから、予測読みして見つけた、自分にとって特に重要な章だけやっておくのが良さそう。
「つなげ」読み
キーワードだけではいちばん予測しにくいのがこのテクニックかもしれません。
3つの「つなげ」読みが紹介されています。()の中は僕の解釈。
- Text to Text:知識とつなげる(アレと同じことだな)
- Text to Self:体験とつなげる(あのときのアレか)
- Text to World:世界とつなげる(ニュースでやってるアレか)
「この理屈って、つまるところ、あの本に書かれていたあの話と同じだよな」とか「前に体験したアレは、これだったか!」とか「この理屈はあの事件にも当てはまりそうだな」とか。
本に書かれていることを本の中で完結せずに、自分の知識や体験と結びつけることで、脳に「重要な情報だ!」と思わせ、より記憶に残りやすくする方法がこれです。
「要するに」読み
このテクニックは以下の2段階に分かれるテクニックです。
- 章ごとに拾い読み、一言要約して、優先順位をつける
- 自分ごとにしつつ要約する
「本を買ったら、最初から最後まで全部をキッチリ読まなくてはならない」と思っている人が多い気がしますが、そんなことはありませんよ。全部が自分にとって重要な情報なわけないじゃないですか。
「価値ある情報」なんでしょうが、「自分にとって価値ある情報」かは別の問題だよね。
ってことで「『自分にとって価値がある情報』はどれ?」ってことを明らかにするのが、1段階目の「章ごとに拾い読み、一言要約して、優先順位をつける」です。
そして2段階目では、ちゃんと残しておきたい内容を自分の言葉で要約しましょう。
そうすると記憶に残りやすくなるし、自分ごとにしやすいので、実践しやすくなります。実践につながらないと意味ないからね。
「しつもん」読み
著者の言っていることに質問をはさみながら対話していこうというテクニック。「理解度をもっとも高めるのはこのテクニックだ」とのことです。
- 「読む」というインプットに対して、質問とその回答を考えるアウトプットが理解度と定着率を爆上げしてくれる
- ハジェテペ大学の効果的な質問例17
本書ではハジェテペ大学が提示している効果的な質問例17を紹介しています。この質問を念頭に読んでいき、「読むまえ」「読みながら」「読んだあと」で回答していくと、理解度と定着率を上げられるわけです。
(全部やるのは大変だから、本の重要度に合わせていくつかピックアップしつつ、実践するのがよさそう)
僕らの脳みそは、疑問があると無意識にそれを解決しようと頭を働かせるので、質問を念頭においておくとめっちゃ理解がはかどる、というわけです。
そして自問自答を繰り返す過程で、記憶にも定着していく、というそういう寸法です。
ハジェテペ大学の質問リスト
- この本がテーマとしている問題提起はなにか? どんな問題を提示し、どんな解決方法を提案しているのか?
- この本はどのように始まり、どのように終わったか?
- あなたはこの本から何を学びたいか?
- この本が同じジャンルの他の本と似ている部分、違う部分はどこだろう?
- この本はなぜ重要なのか?
- この本のタイトルは内容と合っているだろうか? あなたが本のタイトルを付け直すとしたら?
- この本のキーポイントやコンセプトはなんだろう?
- 本の書き出しをチェックして、作者は読者を引き込むためにどんなトピックを展開しているか?
- 本で扱われているビジュアル要素……チャート・地図・ラベル・グラフ・写真・図解から何を学んだか? それらの要素からどんな種類の情報を得ることができたか?
- 著者は読者に対してどう考えてほしいと思っているのだろうか?
- 人に勧めるとき、どの章のどんな情報を1番に取り上げるか?
- 作者はこの本を面白くするためにどのような工夫をしているだろうか?
- 作者の主張のどこに賛成できるか? その理由は何か?
- テーマを説明するために作者がどのような事例を出しているのか? 興味深かった例は?
- この本を読んでいるときにどんな感覚になったか?
- この本で最も重要な1分はどれかその理由は何か?
- 本の内容を振り返って、自分にとって一番刺さった箇所はどこか?
3とかは読むまえに絶対に回答しておいたほうが良いよね。
他にもいろいろ
他にも「理解度や定着率をアップさせるアウトプットについての話」とか「そもそも本が読みきれない人はこうすべし」って内容も載ってます。「メンタルマップ」とか。
そのへんを押さえたい人もぜひ読んでみてほしい。
まとめ
ということでまとめてみると
- 本の知識を自分のものにしたいなら、以下5つのテクニックを活用すべし
- 「予測」読み:内容を予測して、答え合わせする
- 「視覚化」読み:論理構造をストーリー仕立てにビジュアル化する
- 「つなげ」読み:自分の知識や体験とつなげる
- 「要するに」読み:自分の言葉で、自分ごととして要約する
- 「しつもん」読み:質問して回答する
- アウトプットの話とか、読み切るためのテクニックも載ってるよ
「本を読むだけで終わらせたくない」「本の知識を自分のものにしたい」と思っている人は、一読の価値アリと思います。
では。