ページをめくる手が止まりませんでした [書評]サクリファイス

2013/04/06
小説 / 映画 / 音楽

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サクリファイスのシリーズは全部読みました、@jinnaitakumiです!

今回のポイントをまとめると

  • 物語を動かす石尾豪の存在
  • 勝ちたくない白石誓
  • 世界観に引き込まれるリアルな描写

の3つです!

サクリファイスとは

ロードレースの世界を舞台にした近藤史恵のミステリー小説です。

主人公はロードレースのチームで走る選手の白石誓。
彼の所属する自転車レースのプロチームのエース、石尾豪に対する疑惑から物語が走りはじめます。

「サクリファイス」というのは「犠牲」という意味。これほどこの物語に相応しいタイトルはないと思われ。

前にも読んだことがあったんですが、Kindle版が出ていたのでポチりました。

ぼくに与えられた使命、それは勝利のためにエースに尽くすこと――。陸上選手から自転車競技に転じた白石誓は、プロのロードレースチームに所属し、各地を転戦していた。そしてヨーロッパ遠征中、悲劇に遭遇する。アシストとしてのプライド、ライバルたちとの駆け引き。かつての恋人との再会、胸に刻印された死。青春小説とサスペンスが奇跡的な融合を遂げた! 大藪春彦賞受賞作。

石尾豪の存在

どこまでも大きい存在。その存在感たるや。主人公である白石の心を揺さぶり、物語をうねらせる。うねり具合が半端なさすぎる!

3年前に、チームの次期エースとして頭角を現していた袴田という男に、事故に見せかけて再起不能の怪我を負わせたという疑惑が白石誓を惑わせます。

ですが、最後に明らかになる衝撃の事実に涙せずにはいられない!

あんまり語るとネタバレになってしまうので自重しておきます。彼のおかげでページをめくる手が止まらないわけで。

白石誓らしさ

主人公の性格が、この物語では大きな意味を持っていて、エピローグのちょっと胸にささる事実も、”白石誓らしさ”という意味不明なもので、受け入れられます。

高校生ころは陸上で名を馳せたものの、勝利することに疲れ、自分が勝たなくてもいい自転車レースの世界に身を転じます。悪く言えば「逃げた」のかもしれないけれど、それが白石誓らしさ。

完全な主観だけれど、村上春樹の「ノルウェイの森」の主人公が好きな人は、白石誓のことも気にいる気がする。

描写のリアリティ

引き込まれる。

ロードバイクの乗り心地から、身体をなで、時には引っかく風、汗になる日差し、不安と興奮。すべてがリアルに感じられます。

作者の近藤史恵はこれを書いたときロードバイクに乗ったこともなく、またレースを見たことがなかったというから驚きます。いまではファンらしいですが。

まとめ

ということで、今回のポイントをまとめると

  • 物語を動かす石尾豪の存在
  • 勝つことに疲れた白石誓
  • 世界観に引き込まれるリアルな描写

の3つです!

サクリファイスというタイトルは、石尾豪のそれや、白石誓のような存在を表現するまさに打ってつけの言葉だな、と。

読むのは2回めなのに、ページをめくる手が止まりませんでした。

続編の「エデン」も即ポチしました。これも前に読んだんですけどね。